PONO1が上場後を株式を償還し終わらせたことは、A.L.I.にとって大きな波乱でした。
SPACの清算期限が迫っていたため、急遽PONOがA.L.IとPONO2からSPAC上場を前倒ししてPONO1との上場を画策したとされています。
その後、資金難や株式の格安な新株発行など、さまざまな問題が浮上しました。
A.L.I.とPONO1の関係は複雑で、両者の経営体制や戦略が影響を及ぼしていることは間違いありません。
記事の中でこれらのポイントを詳しく掘り下げていくことで、読者により深い理解を提供できることを目指しています。
SPACの舞台裏:A.L.I.とPONO1
最初に抑えるべきポイントSPAC側であるPONO1の事情です。
SPAC側のPONO 1が2022年8月にBenuvia Therapeutics Incとの交渉が破談に終わったことが関係者の証言により明らかになりました。
SPACスポンサー(SPACの主導者)は上場のために経費が掛かっており、2年間という期限内に合併が完了できない場合はSPACを清算しなければなりません。
その際、かかった経費は数億円単位で消えてしまいます。
当初、A.L.I.は実は「PONO2での上場が考えられていた」とのことです。
そのため、PONO1としては2年間という清算期限が迫ったことで、急遽A.L.I.に白羽の矢が立ち、PONO2とのSPAC上場を前倒してPONO1との上場を画策したとされています。
2022年8月にBenuvia Therapeutics Incとの交渉が破談によって仕掛けに経費が掛かっていたのでこの経費をどうにかしたかった。
千葉氏は千葉氏でA.L.I社と同じ事務所に共用していたし、千葉氏のファンドから資金は提供してるところに経営がうまくいってれば問題ないが、色々負の内面を聞かされ本心「ヤバイ」と思っていたかもしれません。
そんな背景に出てくる、SPAC上場での資金打開策。SPACの舞台裏が通常とは異なる動きは次々としていきます。
PONOとAERWINの合併
米国親会社AERWINSは、2022年8月に特別買収目的会社のPONO CAPITALと合併しました。
そして、2023年2月4日にA.L.I.はNASDAQ上場企業となりました。
2月6日からはAERWINSとして市場取引が始まりました。
A.L.I.は上場直後の2月に突如資金難が表面化しました。
投資家が逃げ出したのは2023年2月で、一般出資者が一斉にPONO側から資金を引き揚げました。
SPACでは、一般投資家は合併相手を見極め、株式保有について判断する権利を有し、株式の償還が可能です。
AERWINSの場合、SPACの一般投資家のほぼ全員が資金を引き揚げ、99%が償還されてしまいました。
上場後、パートナーのはずのPONO社の率いる投資家が殆ど償還してしまったのです。
実に総額1億6000万ドルは160万ドルまで目減りしました。上場で資金調達するはずが、その当てが外れてしまったため、A.L.I.は窮地に追い込まれました。
まあそれでも上場はせいこうしたのだから、仕掛け人は経費を回収できるように通常1ユニット価格:10ドルで売るところを1ドルで販売します。
新株1ドルの闇
合併手続き中の2023年2月2日、PONO1は合併完了し上場完了のために短期間で資金調達が必要でした。
そのため、1ドルでの新株発行を行いました。48時間後には市場において1株16ドル弱で取引されるはずでした。
しかしたったの1ドルで新株が発行され、結果的に500万ドルの資金を調達しました。
この格安な新株発行が悲劇を招くことになりました。
この決断は、PONO1側の弁護士費用など、上場に伴う費用を賄う必要があったために起こりました。
合理的に考えれば株価が高いうちに売り抜けて儲けようとする投資家も多く、株価が下落するのは言うまでもありません。
さらなる資金調達に奔走
上場直後から資金難のA.L.I.は、当然ながら資金調達に奔走しました。
手元資金には問題を抱えながらも、事前に準備していたELOCや転換社債型新株予約権付社債などの資金政策を実施し、勢い新たに発表済みであった中東との事業展開を進めていました。
その中で、Lind Global Financingという会社から500万ドルの条件付き資金調達に成功しました。
が、バーンレート(1か月の会社運営総コスト)が月2億円近くかかる経営体制では、わずか2カ月で資金が底をつくため、ほぼ焼石に水の状況だったといいます。
小松氏に代わりインド系米国人の投資家がALI経営陣の解任
そんな中、HALOCOLLECTIVEという大麻関連企業でIPOを経験している投資家のKiran Sidhu氏が、唯一出資を申し出ました。
「私を役員として迎え入れなさい。その代わりに資金を入れます」という交渉条件があり、AERWINSの役員陣営ががらりと変わることになりました。
ALI創業者の小松氏は3月に解任されました。
伊東大地氏は同社にCEOとして着任したのは2023年4月からで、彼はPONO側に人材を提供しました。
そして、AERWINS社の役員解任は5月に行われました。
マイクさやま氏(Mike Sayama)は、AERWINS社の経営陣の一員であり、同社の取締役でした。彼は2023年5月18日にAERWINS役員を辞任しました。
やまだまれひこ氏は、さやま氏同様に解任でしょう。
2023年6月上旬にKiran氏が来日した際、真っ先に取り組んだことが企業としての出血を止めるための整理解雇でした。
実はこの時、A.L.I.の資金は既に底をつきかけており、Kiran氏が来日する1カ月前の4月末から、取引先への支払い時期の先延ばし交渉が各所で発生していました。
Kiran氏が関与して以来、A.L.I.親会社のAERWINSの取締役議席の6割にあたる3席をKiran氏及びその関係者が占領することになりました。
その後、追加資金がKiran氏から振り込まれず、結果的に6月からは従業員の給与の支払いや経費など、すべての支払いが止まってしまいました。
6月上旬まで140名いた従業員も現在では数人のみで、リストラされた元従業員は3カ月分の給与が未払いのままでした。
本来であれば労働基準監督署が未払賃金立替制度を適応して給与の8割を補填することも可能です。
しかし、AERWINSが何かしらの事情でA.L.I.を倒産させないため、元従業員たちはリストラされたばかりか、未払いの給与が支払われる見込みも見えていない状況でした。
A.L.I.が抱える負債総額は9億円にもなることが関係者からの証言でわかっていました。
A.L.I. Technologiesは、公式に破産申請を行ったのは2024年1月15日です。
同社は、研究開発費の増加に対処できないとして、運営を維持できないと判断しました。
親会社であるAerwins Technology Inc.は、Nasdaq上場を果たしたばかりであり、さらなる興味を引く必要がありました。
A.L.I. Technologies(エーエルアイ・テクノロジーズ)の経営状況は複雑で、多くの展開が交錯しています。
新しい資金提供者の約束と役員の一掃、そして資金調達の見送りは、同社の未来に大きな影響を及ぼしました。
創業者の小松氏とは異なり、新たな経営陣は麻薬関連企業の復興に精通しているようです。
彼らはA.L.I.の再建に向けて戦略的な判断を下していることでしょう。
ただのMBAホールダーではなく、経験豊富な専門家たちが舵を切っていることを期待します。
タイマン張ったことない若者は瀬戸際で負ける
小松氏のような若い才能が育たなかったことは確かに残念です。
しかし近年、自信過剰な若者が多いのも事実で、頭で考えることで全てが解決できると思っている節があります。
そんな場面で、時に誤った判断をしてしまうことがあります。
日本古来の武士道の精神は、謙虚さと思慮深さを重んじるものであり、自己過信ではなく、他人の気持ちを理解することを重んじます。
トップリーダーは、時に他人の視点を欠いてしまうことがあります。
特にSPAC上場は、資金調達と個人的な利益を結びつけることがあるため、慎重な判断が求められます。
彼のような頭脳明晰なヘッジファンド出身の経営陣は、投資家としての視点を持ちつつも、だれがその企業体を(神輿)担いでいるのか心にとどめ、企業の未来を考える必要があります。
新しく挑戦する創業者は新たな経営陣と支える人的資材のバランスを取りながら、A.L.I.とAerwinsの例を糧にし、日本経済の再建と成長に向けて挑戦することを願います。