映像化された作品について「原作のほうが好き」「ドラマのほうが好き」などと思うことがあります。
好きな方で満たされればいいと思っていて、それぞれ別のものとして見ていました。
今まで原作者の想いはどうか、ということは考えたこともありませんでした。
あらためて、原作者、TV制作側、そして脚本家の立場を調べてみました。
漫画協会理事長里中満智子氏の緊急提言
60年のキャリアを持ち、日本漫画家協会の理事長を務める里中満智子さん(76)緊急提言。(AERAより)
この方には、やはり弁護士組合を組織し、こうした著作権を守る契約書の雛形を作るなどの活動を期待したいですね。
少なくとも、芦原さんのように一人で悩むのではなく、協会にはそういった苦情相談窓口が設けられるべきです。
――業界内で、映像化をめぐるトラブルは頻発しているのでしょうか?
映像作品というのは非常に多くの人が関わるので、さまざまなファクターが加わってくる。
芸能事務所の意向があるので、キャストの見せ場を削れないといった事態も起こり得る。
原作者の希望に沿えない場合もあり、契約書には「原作者が提示した条件を守れない場合は誠意をもって解決策を探る」といった内容も盛り込むべきだろう。
亡くなられた芦原さんは、コメントからも条件提示に注意を払っていたが、結果的に守られなかった可能性があり、これは非常に残念なことである。
二次創作に関するトラブルに巻き込まれている漫画家に向けて、伝えたいことはありますか?
悩む原作者には、「弱い立場だから声を上げられない」と思い込まず、著作権法で権利が守られていることを理解し、自分の強さと誇りを持って映像化に関する希望を主張するよう奨励。
脅迫に屈せず、出版社には原作者を守り、積極的なサポートを期待できる協力体制を築くようアドバイスしています。
脚本家野木氏の映像化の過程に触れる
芦原妃名子さんの急逝に伴い、脚本家の野木亜紀子氏が映像化プロセスを明かしました。
芦原さんが手掛けた『セクシー田中さん』の脚本に関して、条件提示が守られず原作が大きく改編された経緯が判明。
野木氏は、原作者と脚本家が直接会うことが難しく、その理由や現場のやり取りについて投稿しました。
脚本家が原作者との対面が難しく、その実情やプロデューサーの役割の重要性を強調。
映像制作の難しさやテレビ局の権利蔑ろに対する危うさも指摘。
野木氏の真摯な制作スタイルに称賛の声と、制作現場の複雑さに対する驚きの声が寄せられました。
漫画家わたなべ氏 原作者の今まで慣習に触れる
わたなべ氏は昨年4月期に自身の漫画「王様に捧ぐ薬指」がTBS系で、同10月期には「18歳、新妻、不倫します。」がテレビ朝日系でドラマ化された。
芦原さんと同じ立場として、Xで芦原さんの書き込みについて私見を述べています。
改めてですが芦原先生はとてもリスクを持ち発言されたと思います。
俳優さんを傷つけるのではないか、ドラマを楽しんだ方から非難されるのではないか、自分はこれ以上傷付くのか。
ドラマ制作時作者には味方はあまりに少ない。勿論大事にして下さる現場もありますが多くは違うはず
「飲み込む作家がほとんどでしょう。それは冒頭の俳優さんや視聴者原作ファンのために。
ドラマを見ながら先生は何度も皆様に頭を下げたはず。
申し訳ない気持ちでいっぱいだったはず ですが先生の発言を肯定して下さる方が沢山いて嬉しい。
救われた作家は沢山います。先生、皆様、ありがとう」と連投していた。
テレビ界の大御所さんま氏 TV制作側との軋轢を示唆
「オレも詳しいことは分からない。カット割りとかも…何かあったんかな」と切りだした。
その後、物語や、キャラクターの見え方が原作者の意志と相違があったのではないかとの指摘があると聞かされ、
「うーん、作る側もね、テレビ的に-とか、それも分かるし、ほんとに難しいところでね…」。
さんま自身、直木賞作家・西加奈子さんのベストセラー小説「漁港の肉子ちゃん」アニメ映画化にあたり、プロデュースに就くなどしており、両者の思いに考えを及ばした様子。
「うーん、ここまでのことになるというのは、よほど(テレビ局側の)ディレクターも意地を張ったのか、何があったのか…」と率直な思いを吐露した。
その後「これはこれは、ほんとに、(芦原さんが)こだわりもって生きてらっしゃったというのは事実ですけども、残念です」と言葉を続け、しのんだ。
劇作家 三谷幸喜氏 映像は時間芸術であると。
- 脚本家はオリジナルの脚本を書くことが多く、アガサ・クリスティの小説をスペシャルドラマ化する際は忠実にやることを心がけた。
- クリスティの小説は3時間のスペシャルドラマに適していたが、連続ドラマや1時間のドラマにする場合は脚色のやり方が変わり難しい問題と語った。
- 時間という要素が映像化において難しさをもたらし、『映像が時間芸術』であることに触れた。
- 原作者が映像化を許可する際には、時間制約を理解し、映像化の権利を渡すことを踏まえなければならないと強調した。
- 漫画はカット割りがあり、具体的に描かれているため映像化が難しいと述べ、映像化を許可を求める際は原作者の思いをくんでほしいと呼びかけた。
- 脚本家は原作者の思いをくんで、世界観を逸脱せずに脚色を行う必要があり、その難しさに触れながらも、できる限り原作者の意向を尊重する姿勢を示した。
多くの漫画家の実態
多くの漫画家は、出版社に対して、弱い立場にいる事の方が多いと思います。 人気が落ちれば、連載は無くなる。
相当の影響力のある漫画家にならなければ、映像化などの際に注文を付ける事は難しいと思います。
先日も、ある漫画家が話をしていましたが、
- せっかく決まった連載の仕事があっても、アシスタントや必要経費を差し引くと、赤字になる事の方が多いとの事。
- 赤字の時は、出版社にお金を借りる場合もある。
- そして、連載を続け、単行本がようやく発刊できる。
- その、印税が入って来て、やっと黒字になるそう。
- その後も、連載を続けるため、単行本を発行できるまで、努力を続ける事が要求される。
- 原稿料の値上げの主導権は、出版社側にある。
と言われています。
こんな実態がある限り、一般的な漫画家の立場は、低いままなのです。
まさに、「やる気だけ搾取」の典型的な構造が、業界にはびこっていると言う事です。
脚本家側のSNSのによる誹謗中傷攻撃
改変も問題ですが、脚本家によるイジメ的SNS投稿が原因だと思います。
脚本家が原作者を酷く下に見ており、敬意を持っていないわけです。
脚本家は一話からずっと芦原さんに脚本をなおされていました。
原作から逸脱しすぎていて、原作者の意向に沿っていないと言うことは気づいていたはずです。
それでも我を通した挙句、芦原さんや関係者も見ているインスタで、 こんなことは前代未聞、二度とないように!と毒を吐きます。
続けて 最終話は自分が書いていないので、誤解なきよう、と尊大な態度。
原作者がどうだこうだと書いて、一度も芦原先生が、とも言わず、 まるでセクシー田中さんが、自分の作品であるかのように振る舞っていました。
仲間も一緒になって、原作者を素人呼ばわり。
脚本家はこの辛辣な投稿を、出演者と一緒に撮った写真と一緒に投稿してました。
出演者も自分の味方ですよと。
酷いやり方です。
これが自死への決定打だと思います。
脚本家相沢友子(52)はどんな人
相沢 友子(あいざわ ともこ、1971年5月10日 – )は、日本の脚本家・シンガーソングライター・女優。血液型はB型。出身は東京都。アーティストの友人に、加藤いづみや相馬裕子などがいる。
主な作品
テレビドラマ | 『世にも奇妙な物語』シリーズ 『恋ノチカラ』 『私を旅館に連れてって』 『鹿男あをによし』 『鍵のかかった部屋』 『トレース〜科捜研の男〜』 『ミステリと言う勿れ』 |
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テレビドラマ版の脚本を1~8話まで手がけていた脚本家の相沢友子さん(52)は、ドラマの最終回が放送された12月24日、自身のインスタグラムで、
「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」
と相当怒っている様子が伺えます。
と報告。
28日には、
「私が脚本を書いたのは1~8話で、最終的に9・10話を書いたのは原作者です。
誤解なきようお願いします。
今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。
この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。
どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」
などと更新していました。
原作者と脚本家のプライドが生み出したボタンの掛け違い
脚本家の経歴から見ると、高校時代からショービジネスに携わり、ある意味、業界で実力行使のできる方と推測されます。
自死の争点は確かにTV局制作側対原作者の構成がありますが、これは原作者と脚本家のウマが合わなかった可能性が高いです。
相沢氏は業界歴が長く、自分、作品ととも見せることを特化して作り上げるスキルに優れた人物。
芦原氏は「セクシー田中さん」からのように、端的に言えば相当な陰キ言えばあった可能性があります。
ことごとく細部に拘りのある人でドラマの経緯文も作者のこだわりばかり主張されています。
実際業界はそんな風に動いていないにも関わらずです。
50歳代になってもそんな業界の機微を知らなかったとは思えません。
ネットによれば相沢氏が前代未聞と4-5人の脚本家の間でコメントの投稿したことが発端のようです。
両者の気持ちはよくわかりますけどね。
そもそも、このような問題は業界でしばしば発生しており、SNS弾を使ったパワハラもあった可能性が高いです。
芦原氏はこれに残念ながら耐えられなかったようです。
なお、業界で長く活躍してきた相沢氏にとっては、TVものは映像芸術として捉えられ、原作と異なる手法や予算の制約も存在します。
この点において、芦原、相沢両氏は自らの尊厳に固執せず、制作取りやめ、折衷案を模索するべきだったのではないでしょうか?
相沢氏にしてみれば、TV業界の慣習でいきているベテランでこんな面倒くさそうな原作者は好んで会いたくないでしょうし。
芦原氏のこだわりや要望は今までの業界の慣習通り、TV局側もなし崩しにしようとしていたことは間違いないでしょう。
まとめ
今まで書いたようなことを知らずに、私は原作者が納得した上で放映されているものだとばかり思っていました。
また、こんな形で当事者の一人が命を落とすことにも大変驚いています。
最近では、経験や年齢に対する否定的な意見が増え、自分の主張が通ることが重要視されています。
どの分野でも、相手に対するリスペクトや誠実な態度、忖度を含む気遣いが大切です。
テレビ局は、ヒット作を生み出す原作者と映像化を担当する脚本家の間を取り持ち両者の協力をあれば、今後同様の問題が発生しないと期待しています。
日本のゲームや漫画、アニメの分野は国際的に有名であり、これらの分野でも原作者の権利を保護する仕組みが必要です。
故人になってから後悔するのではなく、公正な交渉が可能な体制の整備が急務です。
最後に、松本律子様のご冥福を心からお祈りいたします。