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バイオフロックによる養殖

バイオフロックによるバナメイエビの陸上養殖(実践編)

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こんにちは、ユキレドブログへようこそ。

こぐま

今日も張り切って、トレンドなトピックを追ってみましたのでお楽しみ下さい。

本日は、養殖シリーズの中でも近年、陸上でも養殖ができる技術として脚光を浴びている養殖技術の紹介になります。

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バイオフロックの養殖とは


バイオフロック(Biofloc)技術の原理は、水中に微生物のコミュニティを育て、水質を改善し、魚やエビの養殖をサポートする持続可能なアプローチです。この技術では、水中の微生物が鍵となります。微生物は有機炭素化合物を燃料として利用し、これが化合物の分解を行うためのエネルギー源となります。

バイオフロックの中に存在する微生物コロニーは、水中の窒素化合物を分解する役割を果たします。特に硝化細菌などの微生物は、有害なアンモニアを亜硝酸化物に変換し、さらに硝酸化物に変換します。この過程で、微生物は有機炭素化合物を酸化してエネルギーを生成し、このエネルギーを使って窒素化合物の分解および他の代謝プロセスを実行します。

バイオフロックは、水質管理、環境保護、および養殖業界における持続可能性の向上に寄与することで知られており、微生物のエネルギー生成が窒素化合物の分解に不可欠な要素であることが理解されています。このプロセスにより、水中の窒素汚染が削減され、持続可能な養殖プラクティスが支えられます。

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バイオフロックのメリットとデメリット

メリット: バイオフロック技術の利点は次の通りです:

  1. 水質改善: バイオフロックは水中の窒素汚染を削減し、水質を改善します。これにより、養殖プラットフォーム内の魚やエビの健康が維持されます。
  2. 水交換の削減: 従来の養殖システムに比べて、バイオフロックは水交換の頻度を大幅に減少させることができます。これは水の消費を削減し、環境への負荷を軽減します。
  3. 環境への持続可能なアプローチ: バイオフロックは環境への持続可能なアプローチを提供し、養殖業界の環境負荷を軽減します。水質管理の改善により、生態系への悪影響を最小限に抑えます。
  4. 養殖効率の向上: バイオフロックは養殖効率を向上させ、魚やエビの生産量を増加させることができます。
  5. 持続可能なエコフレンドリーな養殖: バイオフロックは環境への負担を減らし、養殖業界をより持続可能な方向に導くことで、エコフレンドリーな養殖を促進します。

バイオフロック技術は、水質管理と環境保護において有望なアプローチであり、持続可能な養殖プラクティスを支援しています。

バイオフロック(Biofloc)技術にはいくつかのデメリットも存在します。以下にいくつかの一般的なデメリットを示します:

  1. 技術とリソースの要求: バイオフロック技術の導入には特定の技術的知識とリソース(設備)が必要です。特に初めてこの技術を導入する場合、学習曲線が険しい(困難を極める)ことがあります。
  2. 適応困難性: バイオフロックはすべての種類の養殖に適しているわけではなく、特に大規模な養殖プロジェクトにおいては水質環境の適応が難しいことがあります。
  3. 微生物のバランスの維持: バイオフロック内の微生物コミュニティはバランスを保つ必要があり、時折、微生物の過剰成長や不均衡が問題となることがあります。
  4. 疾患のリスク: バイオフロック内で疾患の拡散リスクが高まる可能性があります。微生物の病原体が存在する場合、感染の広がりが制御難しいことがあります。
  5. 初期コスト: バイオフロック技術の導入には初期コストがかかります。適切な施設や装置の設置、水質管理装置、微生物の養殖などが費用がかかります。
  6. エネルギー消費: バイオフロックの維持には酸素供給や混合装置が必要であり、これらの装置の運用にはエネルギーが必要です。
  7. 管理とスキルの要求: バイオフロック技術を適切に運用するためには高度な管理スキルと監視が必要であり、これに要する時間とリソースが多くかかることがあります。

20tons タンクのバイオフロックシステム実用例

20トンのプラスチック製水槽を要するバナメイエビのバイオフロック養殖で必要な設備は、以下のとおりです。

  • 水槽:20トンのプラスチック製水槽
  • エアレーション設備:水槽内の酸素濃度を適切に保つためのエアレーション設備
  • ろ過設備:水槽内の汚れを除去するためのろ過設備
  • 給餌設備:エビに餌を与えるための給餌設備
  • 給水設備:水槽に水を供給するための給水設備
  • 排水設備:水槽から汚水を排出するための排水設備
  • 飼育水の管理設備:飼育水の温度、pH、栄養塩濃度などを管理するための設備
  • 生産管理設備:エビの成長や収穫量などを管理するための設備

なお、この規模の養殖では、以下の設備も必要になる場合があります。

  • 水質測定器:飼育水の水質を測定するための設備
  • 水質制御設備:飼育水の水質を自動で制御するための設備
  • 病害虫対策設備:エビの病害虫を予防・駆除するための設備

具体的な設備の種類や仕様は、養殖規模や飼育方法によって異なります。

以下に、それぞれの設備について詳しく説明します。

水槽

バナメイエビのバイオフロック養殖では、プラスチック製の水槽が一般的に使用されます。水槽のサイズは、養殖規模に合わせて選びます。20トンの水槽では、長さ10m、幅2m、高さ1m程度の水槽が適しています。

養殖水槽

エアレーション設備

エアレーション設備は、水槽内の酸素濃度を適切に保つために必要です。バナメイエビは、酸素濃度が低下すると呼吸困難を起こすため、水槽内の酸素濃度は10mg/L以上を維持する必要があります。

エアブロワー

エアブロアー

アエロチューブ

エアロチューブ

ろ過設備

ろ過設備は、水槽内の汚れを除去するために必要です。バナメイエビの排泄物や餌の残渣は、水質を悪化させる原因となります。

「濾過槽

給餌設備

給餌設備は、エビに餌を与えるために必要です。バナメイエビは、毎日2〜3回、エサを十分に与える必要があります。給餌設備には、自動給餌機や手動給餌機があります。

給餌スケジュールはメーカー指定のガイド通りに行う事をベースとします。魚体のチェックは、給餌不足や過剰を防ぐために重要です。給餌トレーを使って小まめに実施してください。

エビ飼料

給水設備

給水設備は、水槽に水を供給するために必要です。水槽内の水は、定期的に交換する必要があります。給水設備には、ポンプや給水ホースがあります。

排水設備

排水設備は、水槽から汚水を排出するために必要です。汚水は、環境に悪影響を及ぼすため、適切に処理する必要があります。排水設備には、ポンプや排水ホースがあります。

飼育水の管理設備

飼育水の管理設備は、飼育水の温度、pH、栄養塩濃度などを管理するために必要です。飼育水の水質が適切でないと、エビの成長や生産性に影響を与えます。飼育水の管理設備には、水温計、pH計、栄養塩測定器などがあります。

生産管理設備

生産管理設備は、エビの成長や収穫量などを管理するために必要です。生産管理設備には、エビの体重計や収穫道具などがあります。

バナメイエビのバイオフロック養殖は、比較的新しい養殖方法ですが、近年注目を集めています。適切な設備と管理で、安定した生産を行うことができます。

養殖における留意事項

1) 養殖水について

緑がかった水色は、藻類が繁殖している状態です。藻類は、光合成によって酸素を放出しますが、夜間は光合成を行わないため、酸素を消費します。そのため、緑がかった水色の養殖水は、夜間に酸素不足になりやすく、エビの成長や生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 塩分濃度 1-10ppt
  • 硬度800-1800ppm
  • 溶存酸素5.0-9.0
  • pH 7.0-8.3
  • 水温26.5-32℃

一方、茶色の養殖水は、藻類が少ない状態です。藻類が少ないということは、夜間に酸素を消費する量も少ないということです。そのため、茶色の養殖水は、夜間に酸素不足になりにくく、エビの成長や生産性に有利です。

ただし、茶色の養殖水でも、藻類が完全に繁殖していないわけではありません。藻類の量が少ない状態を維持するためには、定期的に水槽内の水を交換したり、藻類を抑制する薬剤を使用したりする必要があります。

なお、バイオフロックシステムの養殖水の色は、以下の要因によって変化します。

  • 光の量
  • 水温
  • 栄養塩の量

光の量が多いと、藻類が繁殖しやすくなります。水温が高いと、藻類が繁殖しやすくなります。栄養塩の量が多いと、藻類が繁殖しやすくなります。バイオフロックシステムの養殖水の色を茶色に保つためには、これらの要因をコントロールする必要があります。

2) 炭素源として糖類を入れる

炭素源はモラセスが一番適当です。炭素含有率50%をもち最も親和性の高いものです。

3) ブロワーの能力は最重要

バナメイエビのバイオフロック養殖では、水槽内の酸素濃度を適切に保つために、エアポンプとエアーストーンを用いたエアレーションが一般的に使用されます。まずは容易なエアストーンで経過を見ながら改善していくのも良い方法です。

エアブロワーは、空気を水中に送り込む機器です。エアブロワーの能力は、吐出量(L/min)で表されます。20トンの水槽では、吐出量が150L/分以上のエアポンプが適しています。凡そ300-400W能力のブロワーでOKでしょう。

エアーストーンは、エアポンプから送られた空気を細かい気泡に分散させるための機器です。エアーストーンの能力は、気泡の生成量で表されます。20トンの水槽では、エアストーンなら1個/m2 エアロチューブなら1-2.5個/m2が適しています。

また、エアポンプとエアーストーンの組み合わせによって、エアレーションの能力を向上させることができます。例えば、複数のエアポンプを並列に接続することで、吐出量を増やすことができます。また、複数のエアーストーンを組み合わせることで、気泡生成量を増やすことができます。

なお、エアレーション設備の選定には、以下の点に注意が必要です。

  • 吐出量が水槽内の水量に対して十分であること
  • 気泡生成量がエビの呼吸に十分であること
  • 騒音が少ない
  • メンテナンスが容易であること

バナメイエビのバイオフロック養殖では、エアレーション設備は重要な設備の一つです。適切な設備を導入することで、水槽内の酸素濃度を適切に保ち、エビの健康を維持することができます。

ブロワーは、いずれも吐出量が150L/分以上であり、20トンの水槽で使用するのに十分な能力を備えています。また、消費電力も300W程度と比較的低く、ランニングコストを抑えることができます。

騒音については、50dB前後となっており、一般的な家庭でも使用できるレベルです。メンテナンスも比較的容易で、フィルターやエアーストーンを定期的に交換することで、長期間使用することができます。

なお、ブロワーを選ぶ際には、以下の点に注意が必要です。

  • 吐出量が水槽内の水量に対して十分であること
  • 消費電力がランニングコストに影響を与えるため、適切なものを選ぶこと
  • 騒音が少ない
  • メンテナンスが容易であること

また、エアポンプとエアーストーンを組み合わせることで、エアレーションの能力を向上させることができます。例えば、エアポンプとエアーストーンを複数台組み合わせることで、水槽全体に均一にエアレーションを行うことができます

4)4-6-2015のデー

バナメイエビは孵化後2週間程度は海水でしか生きられないのですがその後は淡水でも生きられるIMTエンジニアリングは生後10日ほどのPLを仕入れ陸上養殖している。

成長例 海水4.2か月(18週間)

    淡水3.7か月(16週間)

5)2009年-AM TEXAS UNIVERSITY 研究報告から

電気消費量/生産Kg

15.4kWh米国で電気料金が0.10ならあたりたったの1.6ドル弱ポンドあたり15$で販売できるだろうから

一方民間養殖業者 米国MANNA社では

  • 電気消費量2.73kWh
  • 暖房消費量2.73kWh
  • Total 5.46kWh/Kgというデータを出していた。

これはさらに安く、採算の要である、電気代、暖房代をこれでクリアできるので成功採算はぐっと高くなる。

ここフィリピンでは電気代は地方では凡そ15p/kWℎ

15.4kWh x 15P = 225P/kg 電気代だけで225pでは池渡し価格はよくて300p/㎏なので

全く採算に合わない。

一方、日本でバナメイエビの養殖した場合

以下の条件をを満たせばフィリピンをはるかにしのぐ良い数字になる

1) PL10円/尾で100m3の養殖池に50000尾のPLを放流

2) エサ代は㎏当り150円

3) 電気代は31円とし15kwHで賄えることを想定(AM Texas大学レポートをべース)

4) ヒート代も15kwHでまかなえるものとする(AM Texas大学レポートをべース)

5) 15g/尾で㎏3000円で出荷できたとする。

養殖時の運転費用、収入、収益概算

1)PL代 10X50000      = 500,000

2)飼料代 FCR1.4 SR75% BW562kg

  50000X75%X1.4X150X.015=118,125 

3)電気代 31X15X562kg           =261,330

4)暖房代  included in the above

5)モラセス   5750/20kg                  5750

6)ハイドロ石灰  3000/20kg             3000

7)プロバイオティクス                    10500

8)  上下水道代 初回          2800  

       280X2X90     50,400 

9)  S. GTOTAL                              940,105 (占有率55.8%)

10) SALES 562 x 3000 =           1,686,000

11) G.PROFIT                              745,895

たかだか20m2の広さでこれだけの粗利を得られる可能性があります。

夏場をはさむ2サイクルは、暖房不要で養殖可能な可能性があります。

但し高密度での養殖では水槽が大きくなればなるほど、バイオフロッククラッシュを起こす可能性が高くなり難易度があがります。

まずは小さ目の水槽でバイオフロックの生成過程に慣れてから水槽のサイズを上げていくのが得策です。

先の記事でもふれましたが、バイオフロックの養殖システムがメリットのある地域で実施することをお勧めします。

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