こんにちは、TARTです。
今回は、現地の生産者が紹介するバナナの育て方に関するアドバイスをシェアします。
この記事では、バナナの育て方に関する成長過程、成長速度、収穫の仕方、収穫のタイミングなどのヒントやテクニックを通じて、生産者たちが培った初心者向けに、バナナの木を育てて収穫する楽しみをシェアします。
フィリピンは気候条件が適しており、バナナはここでの主要な農産物の一つとなっています。
ナザレノ農園では、手入れが簡単で比較的安定して生産できる約1ヘクタールのバナナが栽培されており、
フィリピン全体でも家庭の庭や空き地で手軽にバナナを育てることができます。
この記事では、その手助けとなる基本的な情報やコツも紹介します。
フィリピンはバナナの生産に適した気候条件を持つ国の一つであり、バナナはフィリピンの主要な農産物の一つです。以下に、フィリピンにおけるバナナの栽培に関する情報を提供します。
まずは、バナナの育て方でおさえるべきポイントを下記にまとめてみました。
- 気候条件:
- 温暖な気候が必要で、バナナは寒冷地に適していません。
- 年間平均気温が摂氏20度から28度の範囲が望ましい。
- 土壌条件:
- 良く排水され、湿度が高い土壌が最適です。
- 酸性から中性の土壌が適しています。
- 有機物質を多く含む土壌がバナナの成長に役立ちます。
- 場所の選定:
- 日当たりがよく、風通しの良い場所を選びましょう。
- 風にさらされないように、風除けを提供することが必要な場合もあります。
- 品種の選定:
- 栽培地の気候条件に合った適切なバナナ品種を選びましょう。
- 栽培方法:
- バナナはランナー(伸びる茎)から成長するため、十分なスペースが必要です。
- 適切な間隔で植えつけることが重要です。
- 水の供給:
- バナナは水を必要とし、特に成長中は適切な水分を供給することが大切です。
- 肥料の施用:
- 栄養を補充するために適切なバナナ用の肥料を定期的に施用しましょう。
- 病害虫の管理:
- バナナは病害虫に対して脆弱であるため、予防措置を講じる必要があります。
- 収穫のタイミング:
- バナナの収穫は熟す前に行わなければなりません。収穫時期の判断が重要です。
- 適切な手入れ:
- バナナの葉や茎を適切に切り戻すことで、健康な成長を促進します。これらの要因を適切に管理し、バナナの栽培を行うことで、美味しいバナナを収穫することができます。
それでは具体的なフィリピンでのバナナの栽培、バナナの育て方についてご紹介します。
土壌の選定と準備
- 土壌の選定:
排水性の確保:バナナは水はけの良い土壌を好みます。水がたまらないように、排水が十分に効く土壌を選びます。
酸性から中性の土壌:バナナは酸性から中性の土壌で最も適しています。pH値が約6.0から7.0の範囲が望ましいです。
有機物質の豊富な土壌:有機物質を多く含む土壌は、栄養素供給や土壌の保水力向上に役立ちます。堆肥を施用して有機物質を増やしましょう。
風通しの良い場所:風通しの良い場所を選び、風の通り道に障害物がないようにしましょう。風はバナナの植物が健康に成長するのに重要です。
- 土壌の準備:
除草:バナナのプラント周りから雑草を取り除きましょう。雑草は競争になり、バナナの成長を妨げます。バナナの栽培地を草刈りし、雑草を効果的に除去することが必要です。
土壌改良:必要に応じて土壌を改良し、有機物質を添加しましょう。堆肥や腐葉土を使用して土壌を肥沃にします。
有機質堆肥を土壌に施用し、土壌の栄養価を向上させます。これにより、バナナの根が充分に栄養を吸収でき、健康な成長を促進します。
土壌のpH調整:土壌のpHが適切でない場合、石灰などの調整材料を使用してpHを調整しましょう。
排水施設:過度の水はけが不足している場合、排水施設を設置して過剰な水分が溜まらないようにしましょう。
プランティング穴の掘り方:プランティング穴を十分に深く掘り、根が広がるスペースを提供しましょう。バナナは水を必要とします。適切な灌漑システムを整備し、水の供給を確保します。また、水はけの良い土壌を確保するため、水溜りを防ぐ工夫も必要です。
土壌テスト:土壌の状態を確認するために土壌テストを行い、必要な施肥や調整を行いましょう。土壌のpHが適切でない場合、適切な補正を行います。石灰を添加して酸性を中和するか、硫黄を使用してアルカリ性を調整します
クリアリングと耕作:植物の邪魔になる低木や雑草などを取り除きます。
エリアを焼かずに、代わりにハービシドを散布するのがおすすめです。
土を緩め、雑草を取り除くために畑を2〜3回耕すことが大切です。以前に他の作物が植えられていたエリアでは、特に耕す必要があります。傾斜のきつい場所では、手でくわを使った作業が行われます。耕作は徐々に等高線に沿って行われます。
排水溝の設置:4列の間に排水溝(主要および二次)を作ります。
水浸しを防ぎ、根域内の塩分や有害物質の蓄積を最小限に抑えます。
広範な根の発達、適切な通気、土壌伝染病の拡散を防ぎます。
適切な株の選別と植付け
株の選別
健康な株の選択: 健康で病気や害虫から影響を受けていない株を選びましょう。葉が元気で明るい緑色で、茎に明らかなダメージがないことを確認しましょう。
健康な株の選択: 健康で病気や害虫から影響を受けていない株を選びましょう。葉が元気で明るい緑色で、茎に明らかなダメージがないことを確認しましょう。
適切なバナナ品種の選択: 栽培地域の気候と条件に合った適切なバナナ品種を選びましょう。一般的な食用バナナには「カヴェンディッシュ」や「グロッシ・ミチェル」などがあります。
バナナの植付け:
- 植付けの深さ: 穴に植える深さは約30センチが一般的で、株を深すぎず浅すぎずに植えます。
- 株の配置: プラント間隔は2~2.5メートル、行間隔は3~4メートル程度を確保し、スペースを十分に提供します。
- 土の詰め方: プラントを植えた後、土をしっかりと詰めて空気ポケットを排除し、根がしっかりと接地するようにします。
- 支柱の設置: バナナの株を風に揺れないように支柱でサポートします。
- 水の供給: 植えつけた後、充分に水を与えて根を湿らせ、その後は適度に水を与えて保湿を維持します。
適切な水分供給と肥料の施用
肥料の施用: 植えつけた後、必要に応じてバナナ用の肥料を施し、栄養を供給しましょう。
水の供給: 植えつけた後、充分に水を与えて根を湿らせましょう。その後は適度に水を与えて保湿を維持します。
水やり管理:水は植物の細胞や組織を元気に保つために必要な水素と酸素を提供します。植えた直後や2か月間は、週に一回、雨が降らない場合は水をやるようにしましょう。雨が5センチ以下の場合も水をやります。
雑草のお手入れ:雑草が植物と光や水、栄養分で競争しないように、そして害虫が住み着かないように、雑草はコントロールされるべきです。バナナは浅い根を持っているので、雑草を次の方法で管理します。
- 手で取る: 新しいエリアでは2〜3ヶ月ごとに手で雑草を取り除きます。
- 自然な方法: 他の作物を植えて雑草の成長を抑える方法です。例えば、カモテ(サツマイモ)、アップランドライス、カンコン、ショウガなどです。
- 薬を使う: 雑草をコントロールする最も簡単な方法は、市販の雑草キラーを使うことです。
土地の被覆/間作:他の作物を植えて土を守り、水分を保つことです。これにより追加のお金がもらえるだけでなく、雑草対策のコストも下がります。通常、大豆、アップランドライス、カンコン、カモテなどが間作に使われます。
肥料
- 年に3回から4回施用できます。重要な考慮事項は以下の通りです:
- 土壌および組織分析、および収穫時の作物の除去に基づいて肥料を施す。
- 肥料を施す際には、植物の周りに穴を掘るか、冠が覆っているエリア内に運河を作ります。
- 成長のクリティカルなまたは最初の段階(1から6ヶ月)に肥料を施し、空中散布、フォーク型のくわで(ポークホールメソッド)、あるいは植物の周りに穴を掘り、冠が覆っているエリア内に溝を作ります。
- ラカタン種の施肥量
- 植え付け時(基肥施用)
- 100gの完全肥料に800〜1000gの鶏ふん(一株分)
- 2から3ヶ月経過後
- 各25〜30gの完全肥料と46-0-0 (尿素)(一株分)
- 4から6ヶ月経過後
- 各100〜120g(21-0-0)と 0-0-60(塩化カリウム)(一株分)
- 7から9ヶ月経過後
- 200gの尿素と300gの 0-0-60 (塩化カリウム)(一株分)
- 10ヶ月以降
- 各350gの尿素と0-0-60 (塩化カリウム)(一株分)
- 植え付け時(基肥施用)
病害虫の管理
定期的な観察: バナナの植物を定期的に観察し、異常な兆候や病害虫の存在を早期に検出します。
清潔なプラクティス: 園地や道具を清潔に保ち、病害虫の侵入と感染を最小限に抑えましょう。
適切な品種選定: 抵抗性の品種を選ぶことで、病害虫に対する強さを向上させます。
適切な間隔: バナナのプラント間隔を適切に保ち、風通しと日光が確保できるようにします。密集した植株は病害虫の広がりを助長します。
予防的な処置: 病害虫の予防として、適切な農薬や生物農薬を定期的に使用しましょう。
病害虫との闘い: 病害虫の発生を検出した場合、速やかに適切な措置を取りましょう。例えば、感染した部分を切り取り、感染を広げないようにしましょう。
感染種の除去: バナナのプラントが感染した場合、周囲のバナナのプラントに感染しないように隔離することが重要です。
天敵を活用: 有益な昆虫や鳥類を促進して、病害虫の天敵として活用できます。
農薬の安全な使用: 農薬を使用する場合、使用前にラベルに記載された指示に従い、適切な防護具を着用しましょう。
トレーニングと教育: 農業者と作業員に病害虫管理の訓練と教育を提供し、正しい実践を普及させましょう。
バナナの主な病害虫について、その種類、症状、および処置方法について説明します。
1. バナナウィルト病 (Panama disease):
- 病原菌: Fusarium oxysporum f. sp. cubense
- 症状: 根から上昇し、バナナの衰弱、黄化、葉が折れ曲がる、最終的にバナナの木が死ぬ。
- 処置方法: 感染が広がる前に感染したバナナの株を取り除き、抵抗性品種の栽培を検討する。化学的な防除法も一部で使用されます。
2. バナナサナダウィングモス (Banana weevil):
- 種類: コガネムシ科のバナナウィール
- 症状: ウィールの幼虫が根茎に侵入し、植物が倒れたり、葉がしおれたりする。
- 処置方法: 侵入を防ぐためにバナナの根茎の基部に土を堆積し、感染した株を除去する。
3. バナナボウルウィービル (Banana pseudostem weevil):
- 種類: ハムシギヒラタムシ科の昆虫
- 症状: 植物の擦過傷、葉の穴、幼虫が茎に穴を開ける。
- 処置方法: 感染部分を切り取り、農薬や生物農薬を使用して侵入を防ぎましょう。
4. バナナアブラムシ (Banana aphid):
- 種類: アブラムシ科の昆虫
- 症状: 葉の巻き込み、蜜露の存在、バナナモザイクウィルスの感染。
- 処置方法: 農薬や天敵を使用してアブラムシの制御を行い、バナナモザイクウィルスの感染を防ぐ。
5. バナナブライトイエローウィルス (Banana bunchy top virus):
- 病原ウィルス: Banana bunchy top virus (BBTV)
- 症状: 葉がくるくる巻き、葉に黄色の縞模様、バナナの小穂が健康に育たない。
- 処置方法: 感染したバナナの株を取り除き、抵抗性品種の栽培を検討する。
これらの病害虫に対する適切な管理は、早期の発見と適切な防除策を含みます。バナナの栽培地域や品種によって、特定の害虫が問題になることがあります。したがって、地域に適した管理対策を採用することが重要です。
収穫と選別
収穫:
収穫のタイミング: バナナの収穫時期は重要で、未熟なまま収穫すると品質が損なわれます。収穫時期は、バナナの品種や地域の気候によって異なります。一般的に、バナナが黄色くなり、実が丸くなると収穫の兆候です。
収穫の仕方: バナナの房を収穫する際には、鋭利なナイフまたは鋸を使用し、バナナの茎を損傷させないようにします。バナナの房全体を収穫する際に、バナナの茎を傷つけないように注意深く切り取りましょう。房を丁寧に扱い、振り回さないようにします。バナナのクラスターを取り外すときは木の茎を保護し、傷つけないように注意しましょう。
バナナの成長速度:植え付けから収穫までの時間は、バナナの品種や栽培条件によって異なります。通常、バナナの木が植え付けられてから収穫までにはおおよそ9ヶ月から2年かかることがあります。以下は、いくつかのバナナ品種の収穫までの目安ですが、個々の状況には異なる要因が影響します。
- ダコタン(Dwarf Cavendish)品種:約9ヶ月から1年半
- ラカタン(Lakatan)品種:約9ヶ月から1年半
- ラトン(Gros Michel)品種:約1年半から2年
- その他の品種:常緑バナナやその他のバナナの品種もあり、これらは植え付けから収穫までの時間が品種によって異なります。
- 一度バナナが収穫されると、新しい芽が成長して再び実を結ぶまでに時間がかかります。
- 栽培環境、土地の状態、適切な栄養供給などが収穫までの時間に影響を与えるため、これらの要素を考慮して計画を立てることが重要です。
選別:
房の整理: 収穫後、バナナの房を整理し、壊れた、病気に感染した、または未熟な実を取り除きます。
サイズと品質の選別: バナナをサイズと品質に応じて分類し、同じ品質の実を同じパッケージにまとめます。
包装と保護: バナナは適切な包装材で保護し、輸送中の傷つきや圧力から実を守りましょう。通常、バナナは段ボール箱やプラスチックトレイに包装されます。
貯蔵条件の管理: バナナの適切な貯蔵条件を維持し、温度と湿度を管理して品質を維持します。
輸送と流通: バナナは慎重に輸送し、落下や振動を最小限に抑え、品質を損なわないようにします。
市場への供給: バナナは市場に供給される際に、品質の良い実が提供されるようにしましょう。市場の需要に合わせて供給を調整し、価格競争力を維持します。
バナナの繁殖方法
バナナの木の繁殖は通常、クローン法によって行われます。以下に、バナナの木の繁殖に関するノウハウを記します:
バナナの繁殖には、地下の塊茎や側芽(オフセットまたはサッカー)を使用して新しい株を生産する方法が一般的です。以下に、具体的な方法を列記します:
1. 塊茎 (Corm Propagation):
- バナナの木は損傷した部分、つまり茎や根のキズから生まれたクローンである。
- このキズを利用して新しいバナナの株を生み出す手法が存在する。
- バナナの木は地下に塊茎と呼ばれるものを持っており、これを使用して新しいバナナの木を繁殖させることができる。
- 塊茎を切り分け、新しいバナナの株を形成する。各塊茎には既に根と新しい芽が形成されている。
- バナナの木が十分に成熟し、収穫が終了したら、バナナの木の根元に近い地下の塊茎、すなわち塊茎を選択する。
- 塊茎を慎重に切り出し、株の周りの土と繊維を取り除く。これを行う際には、適切な工具を使用し、バナナの根を損傷しないようにする。
- 塊茎はすでに根と新しい芽を有している。
- この塊茎を新しい場所に植え、そこで新しいバナナの株として成長させる。植えつける前には、塊茎を十分に水に浸すことが非常に重要である。
2. オフセット (Suckers Propagation):
- バナナの木は通常、オフセットまたはサッカーと呼ばれる側芽を生産します。
- これらの側芽は新しいバナナの株として使用できます。
- 側芽はバナナの木の根元から切り取り、新しい株として植え付けます。
- 側芽には根が既に発達していることが多いため、成長が速いです。
- バナナの木がオフセット(側芽)を生産したら、成熟しているかどうかを確認します。
- 成熟したオフセットは通常、親株から離れて独立して成長します。
- 親株から切り離しには、ナイフや鋸を使用し、慎重に切り取ります。
- 切り取ったオフセットには既に根が形成されていることが多いため、このオフセットを新しい場所に植えつけて新しいバナナの株として成長させます。
- 植えつける前に水に浸すことが大切です。
これらの方法に従って、バナナの木の繁殖を行うことができます。新しい株はしっかりと育て、適切な条件下で成長させることが重要です。
一度バナナが収穫されると、新しい芽が成長して再び実を結ぶまでに時間がかかります。
栽培環境、土地の状態、適切な栄養供給などが収穫までの時間に影響を与えるため、これらの要素を考慮して計画を立てることが重要ですがご家庭ではそんな事を気にせず美味しいバナナを育ててみてください!
以上がTARTがお送りするバナナの育て方でした。